MFT(口腔筋機能療法)

MFTとは

MFT(Myofunctional Therapy/口腔筋機能療法)は、お口の周りの筋肉のトレーニングを通して、正しい口腔機能を獲得するための治療法です。単に歯並びを整えるだけでなく、お口の周りの筋肉(口腔周囲筋)の機能を改善することで、咀嚼(そしゃく)、嚥下(えんげ)、発音、呼吸などの基本的な口腔機能の向上を目指します。

歯医者に来た男の子の画像

MFTが必要となるケース

指をさす女性の画像

以下のような症状がある方はMFTが効果的です

  1. 口呼吸:常に口を開けて呼吸している
  2. 舌の位置異常:舌が前に出ている、または低い位置にある
  3. 不正咬合:開咬(前歯が閉じない)、受け口、出っ歯など
  4. 舌癖:舌で歯を押す癖がある
  5. 嚥下障害:飲み込む際に舌が前に出る、口が開く
  6. 発音の問題:「サ行」や「タ行」が正確に発音できない

MFTのメリット

メリット?デメリット?を示す画像
  1. 矯正治療の効果を高める:筋肉の機能改善により、矯正装置の効果が高まります
  2. 後戻りの防止:矯正後の歯並びを安定させる効果があります
  3. 口腔機能の総合的な向上:咀嚼力の向上、発音の改善、顔貌の調和
  4. 睡眠や呼吸の改善:口呼吸の改善により睡眠の質が向上することも
  5. 姿勢の改善:口腔機能と姿勢には密接な関連があります

当院でのMFTプログラム

STEP
初期評価

まずはお口の機能や筋肉の状態を詳しく検査します。

  • 口腔内の筋肉の状態チェック
  • 舌の位置や動きの評価
  • 嚥下パターンの観察
  • 呼吸方法の確認
  • 発音の評価
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トレーニングプログラムの立案

患者さま一人ひとりの状態に合わせた、個別のトレーニングプログラムを作成します。年齢や生活スタイルも考慮して、無理なく続けられるメニューをご提案します。

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トレーニング指導

主なトレーニング内容

  • 正しい舌の位置の獲得:舌を口蓋(上あご)につける練習
  • 口輪筋のトレーニング:唇の筋肉を鍛える運動
  • 正しい嚥下パターンの習得:舌を前に出さずに飲み込む練習
  • 鼻呼吸の練習:口呼吸から鼻呼吸への切り替え
  • 咀嚼筋のトレーニング:しっかり噛む力を養う
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定期的な経過観察

トレーニングの進捗状況を定期的に確認し、必要に応じてプログラムを調整します。患者さまの頑張りを励ましながら、一緒に目標に向かって取り組みます。

MFTの対象年齢

MFTは年齢に関係なく行うことができますが、特に成長期のお子さま(4〜12歳)に効果的です。この時期は口腔周囲筋の発達が著しく、新しい機能の獲得も比較的容易です。ただし、大人の方でも効果が期待できますので、お気軽にご相談ください。

指をくわえる子供の画像

MFTと矯正治療の関係

MFTは歯列矯正の補助療法として非常に効果的です。矯正装置で歯並びを整えながら、同時に口腔機能の改善を行うことで、矯正治療期間の短縮が期待でき、矯正治療後の後戻りリスクを低減できます。また、より安定した治療結果を得られます。

よくある質問

トレーニングはどのくらいの期間行うのですか?

個人差がありますが、基本的には3〜6ヶ月のトレーニング期間が必要です。症状が改善した後も、定着のために継続することをお勧めします。

家でのトレーニングはどのくらいの頻度で行えばよいですか?

基本的には1日2回(朝・晩)、各5〜10分程度のトレーニングをお勧めします。短時間でも毎日続けることが大切です。

子どもがトレーニングを嫌がる場合はどうすればよいですか?

遊び感覚で楽しく取り組める工夫をします。ご家族も一緒に行うことで、お子さまのモチベーションアップにつながります。当院ではお子さまが楽しく取り組めるトレーニング方法をご紹介しています。

MFTは保険適用ですか?

保険適用時の費用目安

口腔機能発達不全症と診断された場合の保険診療では、初診料・検査料・管理料などが発生します。1回の診療あたりの自己負担額は、3割負担の場合で概ね1,000〜2,000円程度となることが多いです。

まとめ

MFTは単なる歯並びの改善だけでなく、お口の機能全体を向上させる総合的なアプローチです。正しい口腔機能を獲得することは、お子さまの健やかな成長だけでなく、大人の方の生活の質(QOL)向上にもつながります。当院では経験豊富な歯科医師と歯科衛生士が、患者さま一人ひとりに合わせたMFTプログラムをご提供しています。お口の機能でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。