MFT(口腔筋機能療法)

よくあるご質問

MFTの基本について

MFT(口腔筋機能療法)とは何ですか?

舌・唇・頬など口まわりの筋肉を正しく使えるようにするトレーニングです。

MFT(Myofunctional Therapy)とは、舌・唇・頬・顎などの口腔周囲筋の動きやバランスを改善するリハビリテーションです。歯並びや噛み合わせの問題の多くは、筋肉の使い方の「クセ」が根本原因となっています。歯科矯正が「歯の形態を整える」治療であるのに対し、MFTは「筋肉の機能を整える」アプローチです。

口まわりの筋肉は、食事・会話・呼吸など毎日24時間働いており、その力が歯や顎に常に影響を与えています。正しい筋肉の使い方を身につけることで、歯並びの改善・維持、口腔機能の向上、さらには全身の健康増進につながります。

▶ MFTで行う主なトレーニング

  • 舌のポジション訓練:安静時に舌を正しい位置(上顎の前歯裏・スポット)に保つ
  • 唇の閉鎖訓練:無意識に口が開かないよう口輪筋を鍛える
  • 嚥下(えんげ)訓練:舌を前に出さない正しい飲み込みパターンを習得する
  • 咀嚼訓練:左右バランスよく噛む習慣をつける
  • 呼吸訓練:口呼吸から鼻呼吸への切り替えを促す
  • 発音訓練:パ・タ・カ・ラ行の正確な発音を練習する
MFTはどんな症状に効果がありますか?

口呼吸・歯並び・嚥下・発音・顔貌など幅広い症状に効果が期待できます。

MFTが有効とされる主な症状・状態を整理します。

【お子さんの場合】

  • 口がぽかんと開いていることが多い(口呼吸・ぽかん口)
  • 指しゃぶりや舌を前歯に押しつけるクセがある
  • 出っ歯・受け口・開咬(前歯が噛み合わない)などの歯並びの問題
  • 滑舌が悪い(サ行・タ行・ラ行が不明瞭)
  • 食べるのが遅い、食べこぼしが多い
  • 矯正治療中または終了後(後戻り防止)

【大人・ご高齢の方の場合】

  • 食事中によくむせるようになった
  • 硬いものが食べにくくなった
  • 滑舌が悪くなったと感じる
  • 口の中が乾燥しやすい
  • 口腔機能低下症(50歳以上)と診断された
  • いびきや睡眠の質の低下が気になる
MFTは何歳から何歳まで受けられますか?

年齢制限はありません。4〜5歳の幼児から高齢者まで対応しています。

MFTに年齢制限はありませんが、年齢によって効果の出やすさや目的が異なります。

【4〜12歳(成長期)】
口腔周囲筋の発達が著しい時期で、新しい筋肉の使い方を習得しやすく、最も効果が出やすい年代です。特に4〜5歳以上で指示が理解できるようになったころから開始できます。

【13〜18歳(思春期)】
矯正治療と並行して行うケースが多い年代です。成長がまだ続いているため、比較的良好な効果が期待できます。

【成人・高齢者】
年齢が上がるほど習慣の変化には時間がかかりますが、継続的なトレーニングで口腔機能の維持・改善が期待できます。特に口腔機能低下症の管理では50歳以上の方に保険適用があります。

「もう年だから遅い」ということはありません。まずはご相談ください。

MFTと歯科矯正(ブラケット・マウスピース)は何が違うのですか?

矯正が「歯を動かす」治療であるのに対し、MFTは「筋肉の機能を整える」療法です。

歯科矯正(ブラケット矯正・クリアコレクトなどのマウスピース矯正)は、装置によって物理的に歯を動かし、歯並びや噛み合わせを整える治療です。一方、MFTは装置を使わず、筋肉のトレーニングによって口腔機能を改善します。

MFTは矯正治療の効果を高め、治療後の後戻りを防ぐ役割を持ちます。舌で歯を押すクセや口呼吸が残っていると、矯正で歯並びを整えても、筋肉の力によって少しずつ元に戻ってしまいます(後戻り)。

当院では、矯正治療(クリアコレクト)とMFTを組み合わせた包括的なアプローチをご提案しています。

お子さんのMFTについて

子どもの「ぽかん口」はMFTで改善できますか?

はい、MFTは「ぽかん口」(口唇閉鎖不全)の改善に直接効果的です。

「ぽかん口」とは、安静時に口が無意識に開いた状態になることで、医学的には「口唇閉鎖不全」と呼ばれます。日本の子どもの約30〜40%にこの傾向があるとも言われています。

ぽかん口が続くと、口腔内が乾燥して虫歯・歯周病・口臭のリスクが高まるほか、舌の位置が下がって歯並びに悪影響を及ぼします。また、鼻呼吸の機能が低下し、アレルギー症状が悪化しやすくなることも知られています。

MFTでは口輪筋(唇まわりの筋肉)を鍛えるトレーニングを中心に行い、自然に口が閉じられる状態を目指します。家でのホームトレーニングを継続することが重要で、保護者の方のサポートが効果を大きく左右します。

子どもがトレーニングを嫌がります。どうすれば続けられますか?

遊び感覚で楽しく取り組める工夫をご提案します。ご家族の協力が大きな力になります。

お子さんがMFTを続けるためのポイントをいくつかご紹介します。

  • ゲーム感覚で取り組む:「ポッピング(舌を弾く音を鳴らす)」「ガムトレーニング」など、楽しい動作に変換する
  • 家族みんなで一緒に行う:お父さん・お母さんも一緒にやることで、特別なことではなくなる
  • 短時間から始める:最初は1日1分から。継続することが大切
  • 達成したらシールを貼るなど「見える化」する
  • 歯科衛生士にほめてもらう体験を積み重ねる

当院の歯科衛生士は、お子さんが楽しく通えるよう工夫して指導しています。「嫌がって困っている」という段階でもぜひご相談ください。

指しゃぶりや舌癖はMFTで治りますか?

はい、MFTは指しゃぶりや舌癖の改善に有効なアプローチのひとつです。

指しゃぶりは、3歳頃までは精神的な安心感を得るための自然な行動とされますが、4歳以降も継続する場合は歯並びへの影響が出やすくなります。また、舌を前歯の間に挟む癖(舌突出癖)は、前歯が開咬(噛み合わない状態)になる大きな原因となります。

MFTでは、これらの癖のある筋肉の動きを正しいパターンに誘導するトレーニングを行います。癖が習慣化している場合、矯正装置(タングクリブなど)との組み合わせが効果的なケースもあります。

大切なのは「叱って止めさせる」のではなく、正しい筋肉の使い方を習得させること。お子さんのペースに合わせて取り組みましょう。

矯正治療が終わった後も続ける必要がありますか?

はい、矯正後の後戻り防止のために、MFTの継続は非常に重要です。

矯正治療で歯並びを整えても、舌で歯を押すクセや口呼吸などの悪習癖が残っていると、筋肉の圧力によって歯が少しずつ元の位置に戻ろうとします(後戻り)。これは多くの患者さんが経験する悩みです。

矯正後のリテーナー(保定装置)と並行してMFTを継続することで、口腔周囲筋が新しい歯並びを「正しい位置」として定着させることができます。矯正治療の効果を長期にわたって保つためにも、MFTは矯正後も続けることをお勧めします。

大人・高齢者のMFTについて

食事中によくむせるようになりました。MFTで改善できますか?

嚥下(えんげ)機能の低下に対し、MFTは有効なアプローチです。

食事中のむせ(誤嚥)は、舌・軟口蓋・喉頭などの筋力低下が主な原因です。特にご高齢の方では口腔機能の低下が全身状態に大きく影響します。放置すると、食べ物や唾液が気管に入りやすくなり、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。誤嚥性肺炎は高齢者の死因の上位を占める疾患です。

MFTでは、嚥下に関わる舌・唇・頬の筋力トレーニングや、正しい飲み込み動作の練習を行います。特に「舌圧(舌が上顎を押す力)」の低下が嚥下機能に直結するため、舌圧トレーニングは重要なメニューのひとつです。

当院では訪問診療にも対応しており、通院が難しいご高齢の方のご自宅・施設にも伺うことができます。「親がむせるようになった」「施設に入っている家族が心配」という方も、ぜひご相談ください。

口腔機能低下症と言われました。MFTは関係しますか?

口腔機能低下症の管理には、MFTと共通するトレーニングが多く含まれます。

口腔機能低下症とは、加齢・疾患・廃用などにより、咀嚼・嚥下・発音などの口腔機能が複合的に低下した状態です。2018年の診療報酬改定で保険適用となり、2022年からは適用年齢が50歳以上に引き下げられました。

診断は7項目(口腔衛生状態不良・口腔乾燥・咬合力低下・舌口唇運動機能低下・低舌圧・咀嚼機能低下・嚥下機能低下)の検査を行い、3項目以上で口腔機能低下症と診断されます。

管理の内容には、舌の筋力トレーニング・嚥下訓練・パタカラ発音練習など、MFTと共通するアプローチが多く含まれます。50歳以上の方であれば、保険適用で定期的な検査・管理を受けることが可能です。「年のせいで仕方ない」とあきらめる前に、ぜひご相談ください。

滑舌が悪くなってきました。MFTで改善できますか?

舌・唇・頬の筋力低下や動きのクセが滑舌に影響しており、MFTで改善が期待できます。

滑舌の悪さは、舌の動きの範囲・速さ・協調性の問題であることが多く、口腔機能低下症の検査では「オーラルディアドコキネシス(舌口唇の交互運動)」として評価されます。

MFTでは、「パ・タ・カ・ラ」の発音練習を中心とした舌・唇・頬の運動訓練を行います。パは唇の動き、タ・カは舌の動き、ラは舌の協調運動の改善につながります。健口くん(竹井機器工業)などの測定機器を使って現在の機能を数値化し、トレーニングの効果を可視化することも可能です。

口の中が乾きやすいのですが、MFTと関係がありますか?

口呼吸や口唇閉鎖不全による口腔乾燥はMFTで改善が期待できます。

口腔乾燥(ドライマウス)の原因はさまざまですが、そのひとつが口呼吸です。口が開いたまま呼吸すると口腔内が乾燥し、唾液の自浄作用が低下するため、虫歯・歯周病・口腔カンジダ症などのリスクが高まります。

口呼吸による口腔乾燥であれば、MFTで口唇閉鎖を改善することで乾燥感が和らぐケースがあります。また、口腔機能低下症の検査項目「口腔乾燥」は、ムーカス(村田製作所)などの口腔水分計を用いて客観的に評価することも可能です。

なお、薬の副作用やシェーグレン症候群などの全身疾患が原因の場合は、内科・口腔内科との連携が必要なこともあります。まずはお気軽にご相談ください。

トレーニング・通院について

トレーニングはどのくらいの期間行うのですか?

個人差がありますが、一般的には6か月〜2年程度です。症状改善後も定着のために継続を推奨します。

MFTは「筋肉の使い方のクセを変える」トレーニングです。短期間では習慣は変わらないため、継続的な取り組みが必要です。

【目安の期間】 軽度の口唇閉鎖不全:3〜6か月程度/矯正との併用・舌癖改善:6か月〜1年程度/嚥下機能改善・高齢者の口腔機能管理:1年以上の継続管理が理想的

症状が改善した後も、新しい筋肉の使い方が完全に定着するまでは継続することをお勧めします。定着前に終了すると後戻りが起きやすくなります。焦らずじっくり取り組みましょう。

通院の頻度はどのくらいですか?

開始当初は月1〜2回、安定したら月1回程度が目安です。

MFTの通院頻度は、症状の程度・年齢・患者さんの取り組み状況によって変わります。一般的な流れは以下の通りです。

  • 導入期(最初の1〜2か月):月2回。正しいトレーニング方法の習得と習慣化が目標
  • 継続期(3か月〜):月1回。ホームトレーニングの定着確認と内容の調整
  • 維持期:2〜3か月に1回。口腔機能の維持と経過観察

口腔機能低下症の管理として保険算定する場合、初回検査から6か月後に再評価検査を行う流れになります。

家でのトレーニングはどのくらいの頻度で行えばよいですか?

基本的には1日2回(朝・晩)、各5〜10分程度が目安です。毎日継続することが何より大切です。

MFTの効果の8割はホームトレーニングの継続にかかっています。通院は「正しいやり方の確認とモチベーション維持」の場であり、実際のトレーニングは毎日の積み重ねが重要です。

ただし、「完璧にやらなければ」と思いすぎると続きません。まずは朝の洗顔時や夜の歯磨き後に1種類だけ行うところから始め、徐々に習慣化させましょう。歯科衛生士が生活リズムに合わせた無理のないメニューをご提案します。

MFTのホームトレーニングでは具体的に何をするのですか?

舌・唇・頬のトレーニングを、特別な器具なしでできる簡単な動作で行います。

代表的なホームトレーニングの例をご紹介します(担当衛生士から個別に指導します)。

舌のトレーニング

  • スポット:舌先を上顎前歯の裏(スポット)に当て、そのまま5秒キープ×10回
  • ポッピング:舌全体を上顎に吸い付けてポンと弾く。「ポン」という音が鳴ればOK
  • スラープスワロー:舌をスポットに当てたまま飲み込む練習

唇・頬のトレーニング

  • リップトレーニング:唇を閉じたまま口角を横に引き、5秒キープ×10回
  • ボタントレーニング:ボタンを唇の内側に入れ、糸を引いて抵抗に逆らって閉じる

発音・嚥下のトレーニング

  • パタカラ発音:「パ・タ・カ・ラ」を1秒に5〜6回のペースで繰り返す
  • ガムトレーニング:ガムを舌で上顎に押しつけながら飲み込む練習

費用・保険について

MFTは保険が使えますか?

ケースによって保険適用になります。お子さんの場合と成人・高齢者で異なります。

お子さんの場合(口腔機能発達不全症)

18歳未満で口腔機能発達不全症と診断された場合、保険診療として定期的な管理・指導を受けることができます。毎回の窓口負担は少額で、継続して通いやすい費用感です。

成人・高齢者の場合(口腔機能低下症)

50歳以上で口腔機能低下症と診断された場合、検査から定期管理まで保険適用となります。6か月ごとの再評価も保険診療で受けることができます。毎回の窓口負担は少額です。

保険適用の場合、1回あたりの費用はどのくらいですか?

3割負担の場合、1回あたりの窓口負担は概ね1,000〜2,000円程度となるケースが多いです。

保険適用の場合、管理・指導の窓口負担は少額です。再診料が加わりますが、毎回の負担は軽く、継続しやすい費用感です。同日に他の処置(歯石除去・フッ素塗布など)を行う場合は、その分の費用も加わります。

初診時に保険適用の可否と費用の目安をご説明しますので、安心してご相談ください。

訪問診療でもMFTや口腔機能管理を受けられますか?

はい、当院では訪問診療でも口腔機能管理に対応しています。

当院は在宅療養支援歯科診療所として訪問診療を行っており、通院が困難なご高齢の方のご自宅・グループホーム・老人ホームなどにも伺います。

訪問先でも口腔機能精密検査・口腔機能管理(保険適用)が可能です。嚥下機能の低下・口腔乾燥・舌圧低下などの問題を評価し、患者さんとご家族・介護スタッフへの指導を行います。

「親がむせるようになった」「施設に入居している家族の口腔機能が心配」「ケアマネージャーから歯科受診を勧められた」という方も、お気軽にご相談ください。小田原市・南足柄市・開成町・大井町・松田町・山北町・秦野市・箱根町など足柄・西湘エリア全域に対応しています。

MFTについて相談したいのですが、どのように予約すればよいですか?

電話にて「MFTの相談」としてお申し込みください。

初回はMFT・口腔機能についての相談・検査を行います。現在の口腔機能の状態を評価したうえで、保険適用の可否・治療計画・費用の目安をご説明します。

  • お電話:0465-74-0781(受付時間内にお電話ください)
  • 「MFTについて相談したい」「口腔機能が気になる」「訪問診療の相談」などとお伝えいただくとスムーズです

小田原市・南足柄市・開成町・大井町・松田町・山北町・中井町・秦野市・箱根町など足柄・西湘エリア全域からのご来院をお待ちしています。MFTや口腔機能管理は、お近くの歯科では対応が少ない専門的な取り組みです。遠方からのご相談もお気軽にどうぞ。

医療法人社団武尾歯科のMFT・口腔機能管理

【当院の特徴】

  • 歯科衛生士によるきめ細かい個別指導(ホームトレーニングも丁寧にサポート)
  • 小児〜高齢者まで対応(口腔機能発達不全症・口腔機能低下症の保険管理)
  • 矯正治療(クリアコレクト)とMFTを組み合わせた包括的アプローチ
  • 在宅療養支援歯科診療所として訪問診療でも口腔機能管理に対応
  • 小田原市・南足柄市・開成町・大井町・松田町など足柄・西湘エリア対応

口腔機能についてのお悩みはお気軽にご相談ください